犬電脳 ~ RD潜脳調査室 第7話

何だかメタルとか関係なしに、普通の探偵ドラマに見えてきた、RD潜脳調査室 第7話「手と手で i am a dog」であります。

安全上の理由から、ペットにもナノマシンを注入して電脳化しているということですが、案の定ペットたちの記憶なんかのメタルが存在していました。でもなんだか、それだとかえって危険な気がしますよね。動物たちの意識がリンクするということを、今回の話では昔持っていた群れの意識がどうとか言ってましたけど、そんな単純な話ではないと思われます。動物たちの本能に基づいた意志がリンクされていくというのは、たとえば、群れを成さずに意識だけで群れを形成することができたり、動物たちには考えられなかった集合意識が生まれるかもしれなかったり、またその意識がメタル内で野生化(笑)するとか、ヘタをすると全く新しい生物を生み出す可能性が考えられ、むしろ逆効果ではないかと。

あ、そういえば、「敵は海賊」シリーズで、野生化したコンピューターが登場しましたね。いや、神林長平という人は、本当に素晴らしいです。

また、犬と人とが同化して、対等の関係になるという話も、なんだかあまりにも現実から思想が解離しすぎてて、妙な感じでした。そんなに動物をあがめ奉る考えはどっからくるのでしょう。まあ昔は犬将軍なんて人がいたくらいですから、私たちの社会や文化にしっかりと存在する思想なのでしょうけど、でも要するに、それで犬が満足するわけではなくて、結局のところ、その思想を求める人たちが満足したいだけですよね。そういうところで、波留の言う「あの子の気持ちは考えられないのか」と言うセリフはしごくまっとうで、へったくれもなく当たり前なことです。

決して相手と自分は、対等でもないし、同化できるものではない存在であるからこそ、そこに友愛があるのです。

私は独身ですが、その理由から、子供の目線に腰を下ろして話すということにはとても反対な立場です。立場の違い、身分の違い、年齢の違い、経験の違いは、腰を下ろしても隠しようのないものであり、むしろ腰を下ろしてしまうことで、ヘンな勘違いを生み出してしまうと思います。もちろん局面によってはそういうことが必要だというのは分かりますが、無条件にそのスタンスを取るというのは取る側のエゴにしか見えません。

今回は、飼い主の人の事件と言うよりも、ダップ自身が主人公でしたね。
飼い主の人は後天性電脳同化症になってしまいましたが、犬との同化を免れたことは、何よりもダップにとって幸せなことだったと思います。

お話の最後に、ゴルゴ13に引用されていた以下の文章を思い出していました。

子供が生まれたら、子犬を飼うといい。
子犬は子供より早く成長して、子供を守ってくれるだろう。
そして、子供が成長すると良き友になる。
青年となり多感な年頃に犬は年老いて、死ぬであろう。
犬は青年に教えるのである。死ぬ悲しみを──。

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メタルにできないもの ~ RD潜脳調査室 第6話

RD潜脳調査室、第6話「ラブ・レター if...」です。

RDの世界に存在するメタリアルネットワークですが、あらゆるものを取り込み、保存されていることと思われます。図書や文献なんかはその最たるもので、紙媒体自体は一部を残してほぼ一掃されていることが語られていました。あらゆる情報や記憶だけではなく、意識や思想や欲望なども取り込まれているメタルですが、今回は、それをかたくなに拒む存在が登場します。

ミナモちゃんが借りた「ラブ・レター」という本ですが、実に不思議な形態をとっているなあと思いました。

単に小説として読ませるだけではなく、最後に白紙の便せんを用意し、読んだ人間に、読後感からわき上がる思いを手紙として書かせ、それを想いの人に送らせる。どうしてわざわざそんな仕掛けを用意する必要があったのか?そのことを考えていくと、「ラブ・レター」の作者がなぜ電子化をかたくなに拒んだのかが浮かび上がってきます。

「ラブ・レター」に挟まっていた手紙は、波留が書いたものでありました。

それも、手紙の送り主に対する返信として、ただ一言、「この仕事が終わったら会いに行きます」と。まるでメールの返信かのような一言を、あえて手紙で、そして、それ以外の大事なことは一切触れることなく。まるで、その一言が元の手紙に対する答えとして十分であると言わんばかりです。そして、私たちは、その一言を見るだけで、かつては同僚だった彼女の元の手紙を感じることができます。またさらには、波留の一言の手紙を読んで、彼女が何を感じたのかさえも。

ミナモちゃんが言う、「手書きの手紙のほうが、書く人の想いが伝わるって言うけど、それだけじゃないんだね。受け取って読んだ人の想いまでわかるんだね。」という言葉は、まさにその通りだと思います。私たちは、波留の境遇や過去、人となりを情報として知っておりますが、そこから、波留の手紙を受け取った人物が感じたであろうことを思い浮かべることができます。その上で、波留の手紙に対して、不思議な感慨や共感、またはミナモちゃんのように涙することもできます。そう。波留にとっては、ただ少し眠っていただけ。物理時間は50年ですが、波留にとってはそうじゃない。しかし、手紙の送り主にとっては、取り返しのつかない時間が流れており、それはまた大きな事実として波留の前に横たわっています。わずかなすれ違いなのか大きなすれ違いなのか。波留の中にはまだ彼女に対する想いが残っているのか。ミナモちゃんは、それらを丸ごと身体いっぱいに受け取って、そしてただ涙します。

私が今回言いたいことは、これらの一連の出来事や想いの流れを、果たしてメタル化できるのか、ということです。

意識や欲望までがメタル化可能な世界において、情報や事実や記憶、経験などは容易にメタル化が可能でしょう。しかし、「ラブ・レター」の作者がその作品でやろうとしていたことは、そういった、想いという名の情報を、作品を読んでもらうことで蘇らせることではないと私は考えます。その記憶情報は単なるきっかけに過ぎない。むしろ重要なのは、そこから「手紙を書く」ことです。そして、想いの人と新しい対話をし、新しい時間を築いていくことです。それこそが作者の真の狙いでしょう。彼はおそらく、自分の作品を読んでもらうことそのものよりも、単に、読む側にラブ・レターを書いてもらいたかっただけなのだと思います。

そして、「ラブ・レター」の作者は、電子化された本では、それはきっとなし得ないだろうと考えたのでしょう。

なぜならば、新たにわき上がる想いや、想いに突き動かされる行動、そして新たに積み重ねられていく時間とは、確実に現実として存在していながら、極めて動的で目に見えない「かたち」であるからだと思います。仮にそれを電子化したとしても、それは静的なものに変質してしまって、その日その時その瞬間にその場にあったものとは全然別のものになってしまいます。

例えば、なぜ「手書きの手紙のほうが、書く人の想いが伝わる」のでしょう?
また、手で書いた手紙を電子化してしまえばいい話だとは、どうしてならないのでしょう?

それは、私たちが「手書きで手紙を書く」という行動に対して、その事実を知った瞬間、相手のその行動に影響されて、様々な想いが新しく生み出されるからです。そこで生まれる想いの中には、極めてプライマリな「手書きで手紙を書く」という行動でなければ絶体に生まれ得ない想いが必ず含まれており、私たちはその想いに対してとても大きな価値を感じます。だから、手書きという事実はとても大事な事となります。

またそして、その想いが生まれるためには、実際に書いた紙が目の前に存在する必要があるのです。そうでなければ「手書きで手紙を書いた」とは私たちは認識しません。また、電子データのアウトプットとは、単純にそうであったものの記録にすぎず、それは認識できる現実ではありません。私たちは、目の前の現実として存在するものにこそ、影響されうる生き物で、それが現実ではないと分かると、とたんにどうでもいいものに思えてしまう特性を持ちます。それはひとえに私たちは、常に現実に生きている動物であり、現実こそが自分の場所だと理解しているからです。そこに影響を及ぼすものは、それが現実のものだと認識される状態であるものであり、それはまさしく、手書きの手紙なのです。

最後にミナモちゃんが流した涙は、きっと、電脳化していない彼女でなければ流せなかった涙であると思います。
またそれは、「ラブ・レター」の作者にとっては、作家冥利に尽きるものでしょう。

全ては、電子化されなかった「ラブ・レター」の存在と、また、かつてその本を読み、最後のページに手紙を書き、思いを交わした男女がいたことが引き起こした事なのですから。

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関節だけはイヤンw ~ RD潜脳調査室 第5話

RD潜脳調査室、第5話「スーマラン item」ですが・・・関節はいやああぁぁ!(笑)。しかも股関節までー!
あの音がすんごくイヤでした(笑)。

前回は、電脳と言えばエロスでしたが、今回は、電脳といえばバーチャル、バーチャルといえばやはり格闘です。

映画のマトリックスを観た時、きっと誰もが、ネオが電脳空間で初めて格闘するシーンに、何とも言えない憧れを感じたのではないでしょうか?肉体とは、私たちにとって常に精神の牢獄のようなものであります。精神が望んでいるイメージの肉体と、現実のそれは常にズレが存在し、それは、どんなに減量したり、身体を鍛えたりしても、疲労や、故障、生活習慣の変化、また加齢などで、100%完全に理想と一致することはあり得ません。そのことから、マトリックスに登場するするような、バーチャルとはいえ、あれほど自由に操れる肉体というのは、きっと誰にとっても見果てぬ夢なのだと思います。

義体化という技術が発達した場合に、真っ先に身体能力の拡張が登場するのは、そのように、精神のイメージと現実の肉体に必ずズレがあることが背景なのかもしれません。攻殻機動隊では、それが豊かな形で表現されていましたが、このRD潜脳調査室では、今のところ、なぜか比較的地味な形態で表現されています。

たとえば、初回でソウタと格闘したホロンは、身のこなしやスピード、パワーは確かにありますが、今回のアイアン・シュバルツの戦闘では意外な脆さが見受けられ、攻殻機動隊でよく見られるような圧倒的で常軌を逸したような身体能力までは実装されていないようです。またソウタの方も、義体化による戦闘能力の向上ではなく、あくまで生身での格闘技術の研究にこだわっている様子で、アンドロイドあるホロンとの格闘に関する議論では、生身でない者の言葉に多少なりともイライラしているようでした。

ここまでのお話での全体的な人工島の雰囲気を見る限りでは、RDにおける高度に抽象化された電脳社会では、どうやらあくまで基本はメタリアルネットワークであって、現実世界については、外科手術を必要としない電脳化と同様に、あまり素の状態から逸脱することを求めない価値観であるようです。

今回登場する、「実践型格闘コミュニティ」なんかは、その価値観の表現系でありましょう。それは、メタルアバターを使っての異種格闘技戦コミュで、義体化していないソウタはそこで腕を磨いているとのことですが、特殊なソフトウェアによる戦闘能力の拡張なども使用せず、メタル内とはいえ自らが持つ力だけで闘い、あくまで生身にこだわるというのは、その格闘が基本的には精神的な活動であることを意味しているように思えます。むしろ、義体化という文明が発達したことによって、格闘はより文化的な存在として特化していき、そこにメタルが生まれたことによって、よりその傾向が強まってコミュニティに発展したのかもしれませんね。ソウタが話していたクロガネシンカイなる人物が作った「都市型格闘術」というのも、その文化の一つなのでありましょう。

そういえば、今回、直感少女ミナモちゃんも、妙にいい動きでしたね(笑)。アイアン・シュバルツ相手にスーマランを取り合うシーンなんかは、目を見張るものがありました。これまた何かの小さな伏線なのかもです。

ところで、前回、「ミナモちゃんが波留のために一生懸命動く動機が見えない」というようなことを書きましたが、この人物像、どっかで一度見たことがあるなあと思っていたら、「老人Z」に登場する、看護師の三橋晴子さんを思い出しました。彼女が、高沢老人に対して無条件に献身的に尽くす姿が、ミナモちゃんの雰囲気にとてもよく似ています。もっとも、高沢老人の場合は、晴子さんに対してどのような気持ちだったのかは定かではなく、逆に波留の方は、ミナモちゃんに無条件の信頼を寄せているところが大きく異なるのですが。

それにしてもなぜこの二人がこうも引き寄せられているのかは、全く不明ですよね。
ラストのソウタの表情は、私も全く同感でありますです。(笑)。

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3倍の絶頂感と欲求の情報化 ~ RD潜脳調査室 第4話

いよいよ最初の事件が始まったRD潜脳調査室、第4話「欲望の環礁 inside」です。

電脳といえばバーチャル、バーチャルといえばやはりエロスです。

私たちの性とその欲求は、基本的に現実や本能などから大きく解離しており、そのために、実に多様で強力な力学が働いている世界が構築されております。たとえば、現実の性別を、自らの幻想としての自我に合わせて、手術をして変更してしまったり、性的欲求の対象が人ではなく、例えば靴などの人とその付随物に興奮を覚えたりするのは、そのわかりやすい例だと思います。

電脳空間のように、空間とその世界を自由に操ることが可能になった場合、その欲求はより拡大して表現する場を与えられ、現在よりもさらに多様化が広がると思われますが、RD潜脳調査室の今回のストーリーでは、メタ・リアルネットワーク上におけるそれが登場します。

その中身はなんとなんと、性別を変更したアバターを介してメタルにダイブし、女性の感覚を男性の神経に直結するという、恐ろしい設定が出てきます。それだと、通常の3倍の絶頂感(笑)が得られるのだとか。

今回は、そのアダルトアバターを使用している最中に、先日発生した停電事故が絡んでブレインダウンしたおっさん意識の救出作戦というお話でした。

そのおっさんですが・・・性別変更したアダルトアバターでも相当にイカれてると思いますが、そこにさらに臨死体験プログラムまでチャンポンしているという欲深さ。正直、そこまでするのって一体どういう性生活なのか想像もつきませんが、そのダウンした意識を波留がサルベージする際に、意識のメタルの深層に波留の思考が上書きされそうになるという興味深い事態が発生します。

メタルとは何か。どうもこの作品は、この問いを主軸としてストーリーが進行しているように思いますが、今回の一連の展開やセリフによって、やはり、意識そのものがメタルになり得ることが分かりました。発生したブレインダウンの原因そのものも、チャンポンした臨死体験プログラムが元で、アダルトアバターを介して意識がメタルに「流れ出した」ということで、メタ・リアルネットワークは、単純な記憶や脳の情報がビット化されるなどを超えた電脳空間であるようです。

また、自分が面白いと思ったのは、意識の情報化と併せて、「欲求思考」自体がデータとしてメタルに存在するということでした。記憶がデータとして存在するイメージはとても分かりやすいですが、思考や欲求がデータとして実態を持つというのは、実感がわかない分だけ逆にいろんな想像が広がって面白いです。たとえば、残留思念として存在する幽霊や霊魂がデータになり得たり(データとしてのみ電脳空間に存在する意識は既に幽霊だと言えますが(笑))、意識や欲求を時系列保存して、文化や社会風俗や集団心理などをいつでも自由に再現することできたり・・・考えれば考えるほど、今までにない発想ができそうです。

さて、今回の直感少女ミナモちゃんは、自分の居場所を確保するために、現実の問題と格闘して奔走しますが、彼女が波留のためにそこまで動く動機がイマイチ見えてきません。ソウタの横やりによって、その気持ちはさらに力強さを増しているのですが、彼女自身は、波留に何か助けられたり、親を失ったところにたまたま現れたりなど、特に生活や自我の形成に困っている様子もないのですが、どうも波留のサポートという立場に固執しているように見えます。

これは想像ですが、どうもミナモちゃんの波留に対する思いの動機と、メタル、そしてこの話の本筋の謎の部分がいろいろと絡み合っているような気がします。

次回は、どうも派手な話になりそうですね。
どんどんストーリーのアクセルを踏んでいって欲しいです。

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30分じゃ分からないメタル入門 ~ RD潜脳調査室 第3話

なかなかお話が転がり出さないRD潜脳調査室wですが、ようやく何かが起きそうな始まりの第3話「リダイブ identity」です。

前回波留がダイブしたのは、どうも勝手にやってはいけないことで違法だったらしく、ミナモちゃんと波留は久島の元へ連れて行かれます。が、久島と波留の関係から、波留の希望によって再度ダイブするという展開になります。

で、みなさんも全く同感だと思いますが、今回のストーリーで、ようやくこの世界の電脳空間にダイブする作業が見えてきますが、まあやはり何だか全然分からないんですよねw。ですが、これは私のモノの見方ですが、分からないことに対してヘンに固執したりすると余計に作品から遠ざかってしまったりするため、あまり気にしすぎずに見つつ身体に取り込んでいくと、徐々に世界に入り込めるのです。そもそも、士郎正宗の漫画作品なんかは分からないことだらけですが、そこをゆっくり解きほぐしていくことの方が楽しみがあるというものです。

それを踏まえた上で今回強く感じたのは、私たちはあまりにも攻殻機動隊の世界に慣れすぎていて、どうしてもその世界でのモノの視点で見てしまい、それに合わないメタファーになかなか入って行きづらいということです。

たとえば、RDの世界では、有線というものがまずありません。そして、電脳空間は、海として表現されており、その電脳空間に接続すると、その表現としての海に突然ドボンとエントリーしますw。そのイメージが、仮に無線だったとしても、回線を通して接続するというものではなく、攻殻機動隊の世界とはあまりにもかけ離れているため、私たちにはどうしても、ネットにダイブしたという風には受け入れられません。ここが、いわゆるRDの分かりづらいところであると思います。

しかし、公式サイトの用語集を見ながら想像をめぐらせていくと、このRDの世界は、電脳空間が攻殻の世界よりも非常に高度に進化を遂げたものであることが分かってきます。

たとえば、攻殻機動隊における電脳空間は、単純なビットの情報やそれをグラフィックスとして統合したイメージとして表現され、単純な視覚情報として接続する人間に伝送されていました。ところが、RDにおいては、「海」というメタファーによって、それが単なる視覚情報ではなく、身体感覚として肌で感じることができる電脳空間として構築されています。ネットを駆けめぐるビットの流れは、攻殻においては単純ないわゆるCG的な視覚情報ですが、RDにおいては海水や潮の流れであり、その中を泳いでネットの中を移動するわけです。このようにビットの情報表現が高度化することは、抽象度が向上したと言って差し支えないと思います。

おそらくこの世界では、攻殻の世界以上に高度に世界が情報化され、その情報量も桁が全く異なるのではないでしょうか。そのために、いちいちそれを単純なグラフィックスとして表現したのでは、到底受け入れられるものではなく、そのために、海という表現をこの世界は必要としたのではないかと思われます。

用語集の解説では、ネットにダイブすること自体も、フィルタリングされる前のデータ状態のメタリアル・ネットワークに直接介入することであるそうで、そのことからも、RDの世界では、単純にビットが回線を流れるイメージではなく、想像を絶する容量が常にネットに溢れているものと思われます。
また、日常生活におけるメタリアル・ネットワークは、その説明から生活に必要な部分だけが見えているということになりますが、つまるところそれは、“表層”の情報だけにアクセスしているということであり、そこからも「ダイブ」ということがどういうことかイメージできるような気がします。

また、用語集によるとこの世界の電脳化は、大がかりな外科手術が不必要で、ナノマシンを脳内に定着させる「分子定着法」という手法で電脳化されているということで、そのために身体にコネクタが不必要で「回線」というイメージそのものがないものと思われます。ネットも「メタ・リアルネットワーク」というその名称から、これまでのような回線という独立したモノとして存在していたものではなく、現実世界にオーバーラップ・・・というより、ほぼ完全に融合してしまっていて、ネットと現実の世界の区別が限りなく曖昧な状態のような気がします。拡張現実とか、ユビキタスとかそういうものではなく、ちょいと意識を向けるとそこには情報がある、みたいな感じでしょうか?さらには、脳内の意識や無意識そのものがメタリアルネットワークに直結しているとか?

いずれにせよナノマシンによる電脳化と、トランスと呼ばれる、脳内の記憶や意識を、メタルに最適な情報に変換するナノマシンが生み出されたことによって、そのような現実とネットワークが溶け合って、区別が曖昧な世界になっていったのではないかと思われます。

また、減圧症とか、意識がメタルに溶け出すだとかも、単なる視覚情報ではなく肌で感じることができる、身体感覚としての電脳空間であることと、フィルタを解除した想像を絶する莫大な情報量(思考圧)のために、メタ・リアルネットワークは、攻殻の世界よりも自己意識を喪失しやすい電脳空間であることから、そういうことが起こるのではないか・・・とか、そのために、情報の深層にダイブできる人間は限られるのだろう・・・とか、そうして、ダイブして莫大な情報量に脳をさらしすぎて自己意識を喪失してしまった状態を「ブレインダウン」というのだ・・・とか、攻殻の世界から抽象表現が高度化したという視点から考えをめぐらせていくと、この世界のメタファーに対する想像がどんどん広がっていきます。

さて、気がしますとか、思われますとか、ずっとそんな調子で長々と勝手な独断推測ばかり並べましたが、最後に今回のお話に少しだけ立ち返ると、そういう世界であるからこそ、ミナモちゃんの存在感が面白くてたまりません。超感覚少女的な立ち位置を今回のお話で確固たるものにしましたが、そういうこと以外に、私たちをこのRDの電脳世界に導いてくれるアバターとしての役割も果たしていると思います。

なんだか、波留とのつながりの理由を全然言い表せない二人なのですが、なんでか名コンビになる予感だけは残る幕切れでした。

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コンビ誕生? ~ RD潜脳調査室 第2話

第2話「少女」ということで、ミナモちゃんフォーカスなお話でした。

マニアックな話ですが、見ていてなぜだかウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」(まあ懐かしい♪)を思い出しました。これは、モリイとケイスという男女が登場するのですが、モリイが、いわば義体化したような身体(指先から刃物が出たりします♪)で、実動部隊として現場におもむき、そしてケイスは要するにハッカーのような立ち位置で、電脳空間からそれをサポートするというようなコンビでした。

ミナモちゃんと波留は、意識的ではなく期せずしてそういう役回りになったわけですけれど、何となく今後そんな風なコンビになって行くような印象を感じされる幕切れでした。
それにしてもミナモちゃんは不思議なコですよね。見た目の印象とは裏腹に、やたらと活動的ですし、どうも周りのお友達とは違って、脳を電脳化していない?ようですし。あと、今回のお話では、妙に彼女の自然に対する感受性にフォーカスをあてて過去から現在までを描いてました。何となくですが、彼女が、メタリアルネットワークと、地球そのものを含むリアルワールドとの接点となっていくような雰囲気が感じられます。「リアルドライブ」って言葉が、そのあたりに引っかかってくるようなこないような・・・。

そのメタリアルネットワークですが、どうやら「深度」が関係しているようなセリフが交わされてました。
まだまだ謎が多すぎて世界に対しての理解が進みませんが、波留がメタリアルネットワークに対してどのような適性があるのか、この先もっと見てみたいです。

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RD潜脳調査室 第1話

直前までほとんど情報が得られなかった「RD潜脳調査室」がいよいよ放映されました。士郎正宗および攻殻機動隊ファンな自分は、マクロスFと並べてこちらもかなり楽しみにしていました。

というわけで、第1話ですが、正直なところまだ全然よく分かりません(笑)。
まったくつかみどころも、とっかかりもないスタートでした。

公式サイトにストーリーとか用語集とかいろいろありますが、はっきり言って、1話の方にひっかかりがないため用語があってもどうにもなりません。・・・ですが、むしろですね、かえってそのことが士郎正宗ピュアな世界であるような気がしてしまって、そのこと自体がまったくマイナスな印象になっておりません。それよりも、攻殻機動隊とはまた異なった世界が広大に広がっているように感じられて、よけいにこれからが楽しみなような気がしています。

今回感じたキーワードとしては、海、電脳、ダイブ、リアルとメタリアル(メタル)でした。

どうやら、海に潜ることとネットにダイブすることが、何らかの観念としてオーバーラップしているようです。ある事故にあって(この事故の事も何があったのかぜんぜんよく分からないのですが(笑))、50年もの間昏睡していた主人公が、目覚めた後に老いた身体でメタリアル・ネットワークにダイブすることで、もう一度求めていた「海」に帰る、という幕切れで今回は終わっているのですが、帰ることと潜ること、海とネット、リアルとメタリアル、不自由な身体と自由な身体・・・などなど、全体を通して、何らかの観念のリンクやオーバーラップというか・・・プログラマ的にはオーバーライド、と言いたいのですが、そんなようなストーリーオファーが張られているのを感じました。

私は、岸田秀の唯幻論が好きで、よく著作を読むのですが、現実なるものを作っているもの自体、我々の共同幻想だったりするわけで、その視点から現実とネットを見た場合、それらは表裏一体であるように見えなくもない気がします。何だか今回の作品のキーワードはそんなようなところにリンクしてきそうな予感を感じさせられる初回で、これからどうなっていくのか楽しみでなりません。

まあ、全然分からないことを、今こうして無理やり言葉にしてみてもどうしようもないことなのですが、ともあれ、攻殻機動隊とは別の「新大陸」であることは間違いないと思いました。

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