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NeXT IMPRO THEATRE 第27回公演 6:劇評「ラジオドラマ」

というわけで、劇評であるが、今回は、とにもかくにもラジオドラマ「天国からのラブレター」が本当に素晴らしかった。

正直なところ、今回は、こういった劇評を書くことを憚ってしまうくらい、何も付け加えることはなく、できることなら、スナドリのつたないレポートなどではなく、劇場音声をそのまま掲載したいくらいの気持ちである。
本当に、ありのまま、掛け値なく、素晴らしいの一言であった。

おそらく初めての試みであったらしいのだが、場内全体をブルーの薄明かりに落とし、impの3人が客席側に立ち、Xpotは舞台側のバラバラの位置に立つことで、サラウンド的な音響環境を作り出し、薄明かりの効果と相まって、観客の想像力に強く訴えかける音だけの演劇空間が作り出されていたと思う。
スナドリ自身、ラジオドラマをプレイヤーとして経験したことがあるのだが、薄明かりの環境が、これほどまでに観客の想像力を舞い上がらせるとは思ってもみず、ただただ驚き、心を奪われるばかりの時間が、そこには流れていた。

ストーリーもレポートとして記述してみると本当にシンプルきわまりない、短いワンシチュエーションであるのだが、実際にその場に居合わせた時の状況としては、まるで何もかもがあらかじめ用意されているかのような、非常に抑制の効いた、見事なまでのセリフの積み重ねが行われており、その世界を十分に共有した全てのプレイヤーが、絶妙のタイミングで、波の音や鐘の音、情景描写を展開していった。

そしてまた何よりも、それらを見事に1つの強力なイメージとしてまとめ上げた即興音楽が、作品に素晴らしい彩りを描き込んでいたことは言うまでもない。
導入は穏やかなメロディーで始まっていき、いったんは情景の音響にその場を開け、ちょっとしたシーンの展開をきっかけとして、また交わされる台詞の行間や、呼吸、情景とその空気や温度、空間などに少しずつゆっくりと彩りを添えていき、徐々に、想いが溢れていくかのように情熱的で透き通ったイメージの曲調に変化していった。

それらの全てのプレイヤーの全てのオファーが、1つ1つ「奇跡の力」として確実に積み重なって大きな力を生み出し、この世に2つとない素晴らしい作品を成していったと思う。

観ている側は、その全員の共有の力によって生み出された光景にただただ心を奪われ、夢のような情景とせつない想いに、深いため息をつかせられるだけだった。

この作品は、何かが1つ欠けても生まれ得なかった、インプロの奇跡である。

本当に、音だけでこれだけのことができるのなら、自分が思っていたインプロの可能性は、実のところ、もっと想像を超えたところにあるのかもしれない。・・・そんな演劇の見果てぬ夢を想い抱かせられるような、夏の夜の、せつない、ラブストーリーであった。

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