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NeXT IMPRO THEATRE 第27回公演 4:ゲームショウ・タイプライター

■ゲームショウ(続き) インプロチーム:Xpot、imp

5.タイプライター 「ぬるま湯」

ゲームショウ最後となるタイプライターは、タイプライター役の人物がストーリーを時折語っていきながら、お話を作っていくというゲーム。今回は、impの奥山奈緒美がタイプライター役でスタート。

とある日本の家。その赤木家では、お風呂のお湯を必ず37℃を保つことが昔からの習慣とされていた。
その37℃の温度を1℃でも間違うと、呪いにかかってしまうと、家の主、光太郎(imp:飯野雅彦)は信じていた。

そして今日も、自らの手で37℃を正確に計っている、光太郎の姿があった。

「さぁ、みんな。入っていいぞ。」

そこには赤木家で湯沸かしの修行をする、門下生たちが集まっていた。

「失礼します。」

その門下生たちの中から、兄弟子のアキラ(Xpot:川添圭太)がタオルを脱いでその湯船に入った。風呂場の空気が緊張した面持ちになる。なぜならば、赤木家では、湯船につかりながらも、その37℃を自らの身体で維持せねばならぬという掟があったのである。

「アキラさん、もう少しです。」
「分かっている。そんなことは百も承知だ。」

弟弟子たちからの声がかかり、アキラも答える。
アキラは、必死の表情で、自らの身体の熱を上げ、お湯の温度の維持に努めた。

と、そして、終了の時間が来る。
今日も何とかギリギリ、37℃を維持することができたようである。少し表情をゆるめながら湯船から出るアキラ。

「おつとめ、ご苦労様です。」(笑)
「うむ。皆も見習ってくれたまえ。」

無事にその日のつとめを果たし、少し風呂場の緊張がゆるんだ。
とその時。主の光太郎の心の中に、ふと、いたずら心が芽生えた(笑)。

「温度を調べさせてもらおう。」と急に言い出す光太郎。
湯船に手をしばらく入れ、ふいに手を抜きだした。お湯のしずくがぱらぱらと飛び散る。そして。

「・・・。ぬるいぞ!!」

門下生たちは驚愕し、アキラも信じられないといった様子で再び風呂場に飛び込んできた。

「そ、そんなはずは!!」
「いいや!ぬるい!!」
「で、ですが!」
「お前、このオレに逆らうのか!オレがぬるいといったらぬるいのだ!!」

光太郎は激怒し、アキラは独房に入れられてしまった・・。

そして、その夜。光太郎の部屋。
光太郎は、三面鏡を目の前にし、後悔の念を吐露していた。「ちょっとしたいたずら心だったとはいえ、かわいい弟子に、オレはなんということをしてしまったのだ・・!」
頭を抱えたが、主人である以上、もう何があっても、あとに引くことはできなかった。

そしてその頃。独房のアキラ。
ものすごい狭い独房で、アキラは、ずっとその言葉を繰り返していた。
「あれは、37℃だった。・・・あれは、37℃だった。・・・あれは、37℃だった。」
そして、その言葉の繰り返しが2万回にまで達したその時、

「あれは、37℃だった!」
「・・・その通り。」

アキラの背後に、一人の老人が立っていた。

「あ、あなたは!」
「私は・・・37℃爺。」(笑)

その老人は、37℃を司る、いにしえの神様であった。

「お前は何一つ間違ってはない。お前は、ヤツにはめられたのだ。」
「ええ!?」
「こんな、必死に37℃に温度を保ったかわいい弟子に、なんて仕打ちをする男だ。あんな師匠・・・この私が、呪いましょうぞ!

そして翌日。再びの風呂場。光太郎が皆に演説をしていた。

「いいか。昨日のアキラのような出来事がもし繰り返されたら・・・お前らめちゃくちゃだぞ!」(笑)

平身低頭する弟子たち。ところが、兄弟子を慕う一人の弟弟子が、光太郎を恐れながらもこう言った。

「・・・あの、あんなに厳しい修行を積んだ兄弟子が、温度を間違えるなんて、私には信じられません!」
「何だと!?」
「・・私も、同じです。そう思います。」
「きっと、何かの間違いです!」

そして他の弟子たちも、徐々に口々に「私もそう思います」と言い出し始めた。その状態に光太郎はややうろたえながらも、

「お前ら、みんな、このオレに逆らう気か!よしわかった!」

その時。光太郎の背後に、37℃爺が現れた。

(では、お前が入ってみよ)

「このオレが入って、見本を見せてやる!」

(37℃じゃ)

「37℃という温度が一体どういう温度か、顔で表現してやる!!」

光太郎はそう言い放ち、湯船の蓋を勢いよくはねとばした。ところがそのお湯は、どう考えてもグラグラと凄い温度で煮えたぎっていたのである。その様子は弟子たち目にも明かであった。

「いいか、見てろ!」
「光太郎様、やめてください!」

光太郎は、一気に湯船に身を沈めた。と同時に、光太郎の身体はあまりの高温のためにすごい勢いでゆがんでいった。

「う、うおおおお!なんだこれは、身体が、身体が、吸い込まれる!!」

湯船のお湯はすごい勢いで渦を巻き、光太郎はその渦の中に吸い込まれ、消えていってしまった・・・。

そして、そこに、37℃爺が突如姿を現した。

「ひ、ひええええ!」

その様子に弟子たちは驚いた。

「37℃こそが、全ての健康と、全ての平和を生み出す、最も重要な温度。それを乱し、欺くようなヤツは、このように呪われてしまうのじゃ!」
「は、ははぁぁぁ!」

弟子たちはその恐ろしさにおののき、床にひれ伏した。
ところが、37℃爺は、元来弟子にはやさしい神様であった。急に、その表情は柔和になり、

「皆の者、そう恐れるでない。面をあげい。」

と言った。

かわいい弟子たちを前にした37℃爺は、それからずっと、そのお風呂を守ってくれることとなり、赤木家のお風呂の温度は、火をたこうが水を入れようが、37℃からは1度たりとも変わらない温度を保つようになったのである。

そして、光太郎の行方は、誰も知るものはいない。


その5に続きます。


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