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NeXT IMPRO THEATRE 第29回公演 3:インプロミュージカル

その2からの続きです。


■第2部 インプロ・ミュージカル


今回のインプロミュージカルは、一風趣向を変えてスタートした。
いつもならタイトルカードから、作品のタイトルやミュージカルの曲名などを決めて、そのままシーンをスタートするのだが、今回はまずこの言葉から始まった。

「お客様の中で、MDかCDをお持ちの方はいらっしゃいますか?」

つまり、観客が持っているMDを拝借し、そのディスクの楽曲の中からランダムに曲を選択して、その音楽を元にシーンを作っていこうという試みである。
今回、MDを持っていた観客はわずか一名だったのだが、そのディスクの中から別の観客によって曲番号が選ばれ、次のような曲が選定された。

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タイトルは「Piano Bar I」。アニメに詳しい方ならきっと誰もが知っているプロデューサー兼作曲家の菅野よう子率いる「シートベルツ」というユニットによる作品。人気アニメ「COWBOY BEBOP」のサントラに含まれている曲である。

事前の再生確認などは一切ないままに、この曲を冒頭で流し、ノータイトルでシーンがスタートした。

その場所は、外国のとあるバー。店内は全体的に老舗のような雰囲気。長年バーとして使われている建物が、店主を代替わりしながら使われているようだ。その老舗の雰囲気からは、かつてはジャズプレイヤーなどのたまり場になっていたようであるが、しかし、近年はその賑わいからはやや遠ざかっているような印象。
マスター(イリ)と、ウエイトレスのローラ(ナオミ)が、どことなくヒマそうな面持ちで閉店間際を迎えている。経営もあまりうまくいっていないようだ。

「ねえマスター、もう閉めましょうよ」
「相変わらず客足の引きが早いなあ」

そんな会話をのんびりとしていたその時、(マサ)が大あわてで飛び込んできた。

「かくまってくれ!」

男は血を流しており、服はボロボロで、一目見ただけで何かの事件に巻き込まれているということが明らかであった。二人はその男に危険な雰囲気を感じてとまどったが、男は今にも気を失いそうな状態だったので、とにかく男を店の奥にかくまってあげた。
するとそこに、男の後を追って数人の男たち(Xpot)が店に駆け込んできた。男たちの手には銃が握られていたが、ローラはそれを涼しい顔をして男たちを迎えた。男たちがその街のマフィアであることは間違いなかった。
緊張する心を抑えながら、二人は何とかマフィアたちの追求を逃れることに成功する。どうやらその男は組織から足抜けをして、それで追われているらしかった。マフィアのメンバーは男の人相書きを手渡して、見かけたら必ず連絡するようにと念を押し、去っていった。
やっかいごとを抱えたことに二人は苦悩するが、男は、マフィアから足を洗って真人間になろうとしてる気持ちを汲んで、手助けをしてあげることにした。

翌日。逃げてきた男、サミーは、マスターの自宅で目を覚ました。心配でついてきたローラにコーヒーを出してもらい、マスターに事の次第を問いただされる。彼は二人を巻き込んでしまったことを謝りながら、自分がしでかしたことを話しはじめた。

「オレ・・親分の女に手をつけちまったんだ」

彼は、親分の女---ジョセフィーヌに本気で惚れてしまい、そして彼女自身も組織から足抜けしたがっていたため、一緒に逃げようとした。しかし、組織の包囲網を脱することはできず、ジョセフィーヌは捕まってしまい、サミーだけが何とかあの酒場に逃げ込んできたのであった。
マスターはその事実を聞いて驚愕した。カネの話だけならば交渉次第で何とか片付けられるが、色恋沙汰となると、早々簡単に済むとは到底思えなかった。しかしサミーは、立ち上がっていた。組織を倒して、ジョセフィーヌを救い出そうと。
そんな風に意気込む彼の姿は、無謀で、自殺にも等しいものとしか、マスター目には映ってなかったのである。

その頃、マフィアの本拠地では、親分(ナオミ)が苛立ちを見せていた。壁に貼られたサミーの手配写真を目の前に、子分たち(Xpot)がその雰囲気を感じて直立不動で震え上がっていた。

「サミーのヤツはまだつかまらないのか!!」

子分たちが蚊の泣鳴くような言い訳をするも、親分は相当感情的になっているようだった。サミー自身を連れてこない限りは到底収まりがつかない様子で、その矛先は子分たちに向けられることとなる。

「お前ら・・・12時間以内に見つからなかったら、1時間おきに一人ずつ殺すからな・・・」
「・・・は、はい・・・」
「いいか!何が何でもサミーをここにつれてくるんだぁぁ!!!」

怒り狂った化け物のような形相で親分は叫んだ。
その頃、サミーは何となく寒気を感じながら、店から外の様子をうかがっていた。

「このお店なら大丈夫よ。絶対に見つかることはないわ。」

そこには、なぜか自信たっぷりのローラがいた。サミーは、寒気と共にややあきらめたような雰囲気で、それを否定した。ヤツの情報網はすげえんだぜ。どうせ見つかっちまうなら、こっちから出て行った方がいいに決まってる。
しかし、ローラは頑として見つからないと言って譲らなかった

「アルフレッドは、このお店には手は出せないの

アルフレッド。親分の名をそう呼んでいい者は組織の中にはいなかった。たとえ親分と親しい者でも、そう呼んだ瞬間に彼の機嫌は逆転してしまうことがほとんどであった。しかし、噂ではたった一人だけ、その名を呼んでもいい人物がこの世にいた。
サミーははっとして言った。

「あんたもしかして・・・伝説の・・・“ミス・ダリア”!

ローラはにっこりと、とてもうれしそうに微笑んだ。

「その名前で呼ばれるのは久しぶりだわ。」

彼女もまたその昔、親分であるアルフレッドの女であったのだ。
彼女は古き時代からのそのマフィアの一員であり、アルフレッドの良き理解者で、最高のパートナーだった。しかし、いつしか彼女も年々暴走をエスカレートしていくアルフレッドについていけず、大変な苦労を重ねて組織から抜け出したのであった。

「あなたには、できることが一つだけあるわ」

自分の身の上から、ジョセフィーヌの気持ちがとてもよく分かる彼女は、サミーを手助けしてくれることとなった。サミーは、「ジョセフィーヌ forever」と腕に描いた入れ墨(笑)を見せ、彼女に対する気持ちを情感豊かに歌い上げた。
そうして二人は、マフィアの本部へ向かい、店を出て行った。
マスターは、二人が残した書き置きを見て、ただ心配することしかできなかった。

<ここで冒頭の曲が流される>

その頃、マフィアの本部では賑やかなダンスパーティーが行われていた。しかし、その楽しい雰囲気は、親分・アルフレッドの一声で、台無しにされてしまう。
再び子分たちを並ばせて、サミーの行方を問いただすも、一向に手かがかりがつかめてなかった一同は、力ない返事しかできなかった。

「お前ら、っとに使えねえなぁ・・・いつものやるか!!いつもの!!そこに並んで寝ろ!!

子分たちは半ば泣きそうになりながら言われるままにした。そしてそこに現れたのは、組織で一番体重の重い男(イリ)だった。

「お前ら!!いつものゴロゴロだぞ!!やってやれ!!」

ぴったり寄せ合って寝かされた子分たちの上を、その男が無情にもゴロゴロと転げ回った。部屋には怒号のような悲鳴が上がり、阿鼻叫喚の地獄絵図がそこに描かれた(笑)。本当に恐ろしいまでの拷問だった。親分は、男に何度となくゴロゴロをさせて、その人間が出しているとは思えない悲鳴が上がるのを楽しんでいた。
その時。彼がそこに現れた。

「やめろ!やめるんだ!こんなに苦しんでるじゃないか!」

サミーであった。
それを見た親分は、にんまりと悪魔的な微笑みを浮かべた。

「とんだ火に入るとはこのことだ」

しかし、サミーはアルフレッドに正面切って挑んできた。

「今日は、ジョセフィーヌを迎えに来ました。」

あまりに正面切られてしまったことで、鼻でせせら笑うアルフレッド(ナオミ)。部屋の奥からジョセフィーヌ(ナオミ)の悲鳴が聞こえ、彼女は監禁されていることが窺い知れた。しかしそこには、サミーの強力な味方、ミス・ダリア(ナオミ)がいたのである。サミーを含め、全員が一同に会していた(笑)

「アルフレッド」
「ダリア!」
「久しぶりね」
「なぜお前、サミーと一緒にいるんだ!」
「この日を待っていたわ。あなたは、今日でもう終わりよ」
「何バカなこといってんだ。・・・ちゃんちゃらおかしいから、オレは一旦この幕の後ろいるぜ」(笑)。

アルフレッドは予想外の展開に恐れをなしていたようだ。ダリアはそのことをすでに察知していた。アルフレッドのそのを利用して、サミーはまずジョセフィーヌを監禁部屋から助け出し、外へ逃がした。そしてその間に、ダリアは子分たちを自分のまとめ上げようとしていた。

「アルフレッドがみんなにゴロゴロをするのは、彼が一番ゴロゴロを恐れているからよ!」
「そうか、そうだったんだ!」

親分の弱点を聞かされた子分たちは、一気に勇気が沸いてきたようだった。
何とかジョセフィーヌを安全な場所にかくまって帰ってきたサミーは、さっそく恐れをなしていたアルフレッドをおびき寄せ、隙をついて縛り上げ、床に寝かせことに成功した。周囲には、ここぞとばかりに子分たちが待ちかまえていた。

<ここで再び冒頭の曲が流される>

完全に拘束されきったアルフレッドを目の前に、サミーは高らかに皆に言った。

「Are you ready?」
「Yeah!」
「It's Showtime!」

オシャレなピアノの曲がバックに流れながら、親分の上を、子分たちが一人ずつゴロゴロしていった。

「うおーやめろーやめるんだー」

アルフレッドは、「うおー」「ぎぇー」「ぬはー」と悲鳴を上げ、子分たちは嬉々として、我先にとゴロゴロをしていった。
サミーはそれをどんどんヒートアップさせていった。

「みんな!日頃のうっぷんをここで晴らせ!」(笑)


そうしてずっとゴロゴロは続いていった(笑)。そのせいですっかり打ちのめされてしまったアルフレッドは、別の街へ去っていき、街には自由な活気戻ってきた。
マスターのバーにはたくさんの人が毎日集まってきた。ダリアの下に。ダリアの下にと。
おいしいお酒が飲めるのは街が平和な証拠だと、ダリアは、そうやって集まってくる人々に大盤振る舞いをしてあげた。
マスターは何事もなく事件が解決したことを喜び、毎日忙しく働いていた。

そんな時。
あの陽気が音が、再びそこに響き渡った。

ドルルルルルルルル!
ズンダンズダンズンダンズダン!ダラララララララ!
ドンドンカカンズダンズダンダン!ダラララララララ!

街にマーチングバンドが戻ってきたのである(笑)。バンドリーダー(マサ)は、「どうですか。よかったらみんなで行進しませんか?」(笑)と皆を誘った。
皆は顔を見合わせて笑いながら、楽しそうにその行進に加わっていったのであった。


その4へ続きます。

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