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NeXT IMPRO THEATRE 第28回公演 3:インプロミュージカル

その2からの続きです。


第2部 インプロミュージカル

今回のインプロミュージカルは、ある一人の男(imp:飯野雅彦)の独白から始まった。

その男は、その昔、およそ60年前にインプロミュージカルアワードで主演男優賞を受賞していた。男はその時のことを懐かしく語り始めるが、なかなかそのタイトルが思い出せない。

「タイトルは何だったけかなぁー」(とタイトルカードをがさがさ)

作品のタイトルは、「50%じゃつまんない」
それは、いつも100%でないとつまらないと考える、中途半端なものでは絶対に満足しない鈴木幸司の話だった。彼は生物学者で、生き物の体内の水分量が常に100%である状態がもっとも健康にいいということを証明しようとしていた。
そして自分の身体の水分量も50%であるということに気づき、そのことを高らかに歌った。歌のタイトルは、そう(再びタイトルカードから)、「動物園の夜」。鈴木は動物園で、一つ一つの動物の身体の水分量を測っていた。そして、フラミンゴだけが100%であることに気づいた。それがその作品のクライマックスの場面であった。

そこまで、思い出した男は、全編をもう一度見たい気持ちに駆られた。全部思い出し切らないと死んでも死にきれん!
そうしてその男は、自分の記憶の糸をたぐりよせ、最初のシーンからゆっくりと思い出していったのである・・・。

大学の講義をしている場面。
熱心に講義をする鈴木(imp:入岡雅人)。彼は、生徒たちからもとても人気のある教授であったが、彼が提唱する水分量100%という学説はやや信じがたい内容で、生徒たち(imp:飯野雅彦、奥山奈緒美)は胡散臭い雰囲気を感じていた。ところが鈴木は、そんな生徒たちの気持ちをよそに、自信満々の表情で、身の回りにいる動物たちの水分量を測るよう生徒たちに課題を出した。

場面変わって、その夜。鈴木の研究室の動物保管室。
鈴木が水分量の観察のために飼っている観察用の動物たちが、なにやら怪しげな相談をしていてた。相談していたのは、サル(imp:奥山奈緒美)と、トリ(岡崎ちか子)。彼らは常日頃から鈴木の飼育施設の環境に対して不満たらたらであり、何とかこの研究室から脱出しようとたくらんでいた。いろいろと相談を重ねたのち、檻のドアを開けてみると偶然にも鍵がかかっていなかった。そうして彼らはやすやすと鈴木の施設から逃げ出すことに成功し、喜び勇んで外へ出て行ってしまった・・・。

そのことはすぐに大学当局にばれてしまい、鈴木は学長(imp:飯野雅彦)から厳しくとがめられた。学長曰く、「とにかく確固たる学説を発表して、それが承認されることが必要だ」。しかも、それが出来なければ教授の資格を剥奪される可能性まで出てきた。
鈴木は心底焦り、研究を急がなければと考えた。

そんな鈴木をよそに、脱出に成功した動物たちは自由を謳歌し、歌い喜んでいた。自由なままで楽しく過ごしているうちに2匹は、身体の調子がだんだん元に戻ってきていることを実感していた。本当は、自然の中で自由でいたほうが、水分量が正常に戻ってくるのである。動物たちは本能的にそのことを知っているようだった。

しかし、そこに鈴木の生徒(imp:飯野雅彦)が現れる。彼は鈴木から動物を捕まえる褒美に単位をもらえることを約束されており、そのため、何とかして動物たちに戻ってもらうよう、必死の交渉を開始した。
動物相手の交渉は困難を極める様相を呈していたが、不思議にもサルは意外なところに興味を示した。
「“単位”ってなあに?“単位”をしっかり説明して」(笑)とサルはその生徒に要求した。

生徒は、得意のラップのノリ(笑)で、単位について説明した。

「それはある種のポイント。ザ・カインド・オブ・ポイント。それが、ないと、オレはダメだ、とても、困ってしまうんだー」

ヘイとかヨウとかそんな言葉を混ぜながらの説明だったが、サルは意外にもすぐに納得した。

「つまり僕たちにとっての木の実みたいなことだね」(笑)。

こうして彼は、何とか動物たちを説得し、檻に入れず、美味しい水を飲ませることを約束し、動物たちに降りてきてもらうことに成功したのだった。

動物たちに再会することが鈴木は、彼らに心から謝りつつ、試しに水分量を測らせてもらった。すると、研究所にいた頃よりも全然水分量が上がっていることが判明した。動物たちは高らかに鈴木に向かって歌いだした。

自然の水が一番なんだ!」

動物たちは、そのことに驚愕した鈴木たちに、実は水分量100%の動物がいることを教えて、彼らをその動物に会わせることにした。但し、条件があった。「収容されている動物園から助け出すこと」
その水分量100%の動物は、そのサルやトリにとってとても大事な仲間であるようだった。
鈴木たちはそれを快諾し、さっそくその夜、彼らに案内してもらうことにした。

そのころ、その水分100%の動物---フラミンゴ(岡崎ちか子)は、とても狭い檻に入れられて、自分の境遇を悲しんでいた。たくさんの仲間たちと一緒に、大きな羽を広げて大空を飛び回りたい!フラミンゴはそんな日が再びやってくることを夢見ていた
実はこのフラミンゴ。この動物園に来た頃は、とても健康的な美しい姿で、いろいろな動物たちから歓迎され、とても人気者だった。ところが、ちょっとした足の怪我をしてしまってからは、ずっと檻に入れられたままとなってしまい、それからすっかり野生の頃の元気やエネルギーを失ってしまったのである。いまや昔の健康的な面影はなく、まるで思い病気を抱えた重病人のように生気を失っていた。

そしてその夜。
動物たちの案内で、フラミンゴのいる動物園に鈴木らはやってきた。いろいろな動物たちの水分量を図りながら歩いていると、やがて鈴木はそのフラミンゴに出会うことができた。サルの手引きで、見回りがない時間にやってきたのである。
鈴木はさっそく水分量を測ってみると、水分量が2%足りておらず、檻から飛び立つことが出来ない状態であった。そこで、サルと鈴木の生徒が腕を差し出し、自分の水分をフラミンゴにあげることにした(笑)。献血っぽい雰囲気で、鈴木が彼らの水分をフラミンゴに移植すると、そのフラミンゴは突如元気を取り戻し、空高々と舞い上がった
そうしてフラミンゴの水分量を測ってみると100%。やはり、生き物には100%の水分が必要なんだ!
鈴木はそのことに実証することができ、それを高らかに歌いあげた。

水分が100%の状態こそ、生き物にとって最も美しい状態であり、そして身体がもっとも野生や自然に近い状態になるのである。
その事実を、飛び立つ美しい姿に湛えながら、フラミンゴは遠くへ消していった。

そんな美しい姿を感動的なまなざしで眺めていた鈴木とサルたちと生徒。ふと鈴木は彼らは自分の水分を測ってみることにした。すると、あのフラミンゴにたくさん水分を移植したはずなのに、なぜか逆に体内の水分量が上昇していることを鈴木は知った。
つまり、感動することとは、生物にとってもっとも自然に近い感情エネルギーであり、豊かな水分量を身体に甦らせる、唯一の方法なのであった。
その事実を元に、鈴木の全ての学説は体系的に整えられ、彼は学会でそれを大々的に発表し、その成果は大きな拍手持って高い評価をえることとなった。

そうして鈴木は、生徒からの信頼も取り戻し、ますますその大学にとって、なくてはならない存在となったのであった。

その4に続きます。

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